
バングラディシュで世界でも非常に珍しい奇病・難病である「樹木男症候群」(ツリーマン・シンドローム)に、10歳の少女がかかったと話題になっています。
少女がかかった「樹木男症候群」とはどんな病気なのか?
珍しすぎてWikipediaにも項目がない「樹木男症候群」の症状と原因や治療方法などをwiki的に紹介していきます。
世界で初めての「樹木男症候群女性患者とされているバングラディッシュのサハナ・カトゥン(Sahana Khatun)さん(10)のの顎や耳、鼻にできていたイボの除去手術が成功したとの報道がありました!
同病院の形成外科部門に所属するサマンタ・ラール・セン(Samanta Lal Sen)氏は、「手術はうまく行った。彼女の顔からイボを除去した。数週間以内に退院させてあげられればと願っている」と述べた。
セン氏はまた、カトゥンさんの症状が「ごく初期」の段階であり、さらなる手術は不要となる可能性もあると明かした。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170207-00000040-jij_afp-int
根治が難しいとされている樹木男症候群ですが、「ごく初期」での治療だったため、さらなる手術は不要かもしれないという主治医の見解でよかったですね!
過去の例では手術でイボを除去した数年後に再発したしているので、今後も注意が必要だと思いますが、まずは一安心です!
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「樹木男症候群」とは?
「樹木男症候群」とは、医学的には「疣贅状表皮発育異常症」と呼ばれる病気の通称です。
英語ではツリーマン・シンドローム呼ばれています。
日本語の「樹木男症候群」は「ツリーマン・シンドローム」の直訳ですね。
「樹木男症候群」の医学用語である「疣贅状表皮発育異常症」の説明を医学情報サイトから引用します。
疣贅状表皮発育異常症(レヴァンドフスキー-ルッツ症候群とも呼ばれます)は、ヒトイボウイルス感染により、小児期から顔面・体幹に癜風(細かい鱗屑とよばれる、皮膚の角質が白くフケのようになったものが付着する淡褐色斑あるいは脱色素斑がみられる)や扁平疣贅(いわゆるイボ)様の皮疹が多発し、徐々に全身に拡大する疾患です。
http://oisha.livedoor.biz/archives/51192548.html
医学用語が難しいので、「樹木男症候群」とは何かを簡単に説明します。
「樹木男症候群」とは、子供の頃から顔や体にイボがたくさんできて、それがだんだんと身体中に広がっていく病気です。
「疣贅」(ゆうぜい)とは、「イボ」を意味する医学用語です。
「樹木男症候群」の症状
上でも触れたように、顔や身体中にイボができて、それが全身に広がっていきます。
がんになる可能性が高く、主に光が当たる部分で発がんするとされています。
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「樹木男症候群」の原因
「樹木男症候群」の原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)によってできる小さなイボがです。
通常は、免疫の力によりイボの成長を止めることができるのですが、稀に遺伝子に欠陥がある人の場合、自己免疫システムが狂ってしまい、皮膚細胞に侵入したウイルスに対し、イボとなる物質を作るように誤った指令を出してしまいます。
そのため、イボの増殖が止まらず、全身に拡大して、最後には樹木の皮のような状態にまで進む「樹木男症候群」となってしまいます。
「樹木男症候群」の治療方法
治療方法についても、奇病のため非常に情報が少ないです。
残念ながら、この病気の根治するための治療法は今のところ存在していない。
露光部に発癌するため基本的には紫外線防御に努め、悪性腫瘍は外科的に切除する。・20%グルタルアルデヒド塗布法…1日1〜2回綿棒を用いて塗布し、褐色になるのを目安に1回適量を覚える。
以後は、適量をなるべく頻回に塗布し、乾固した表面は削りとる。・アルコール湿布法…大きさに合わせて切った酒精綿を疣贅に当て、
油紙やサランラップで密封し、1日1回取り替える。・液体窒素凍結療法…液体窒素を含ませた綿棒で凍結と融解を5~6回繰り返す。
3~7日後再診し水疱形成があれば剪除し、変化がなければ凍結を追加する。
顔面の疣贅では、色素沈着を残すので通常行わない。・電気焼灼法やCO2エレーザー焼灼法…まず局所麻酔下に軽めに焼灼し、焼痂を除去した後、
必要に応じて焼灼を軽く追加する。
引用:http://sekainokibyou.blog.fc2.com/blog-entry-3.html
現在の医学では、根治(完全に治すこと)の方法はないのですね。
光が当たると悪化してがんになるので、日光に当たらないようにする必要があります。
根本的な治療方法はなく、イボ治療に使用されるグルタルアルデヒドやアルコールにより消毒などの対処療法になるようです。
そして、できてしまった木の皮のようなイボは、液体窒素(マイナス196℃)で凍らせてから除去したり、外科手術や電気・レーザーなどを使って削り取るしかないようです。
しかし、いくらイボを除去しても原因となるウイルスは残りますし、遺伝子が書き換わる訳ではないので完全には治らないのですね。
デデ・コワサ
「ツリーマン」(樹木男)として世界的に有名になった人で、インドネシアのデデ・コワサという男性がいます。
彼は、子供の頃に負った傷が原因でできたイボの成長が止まらず、1993年に地元の病院に入院しましたが、結局、原因も治療方法も見つかりませんでした。
その後、資金を集めてイボを切除しましたが、イボは再び全身に広がり、手足の指の位置が確認できない程にまでなってしまいます。
2007年12月にインドネシアの医師とアメリカのメリーランド大学皮膚科学の専門家が治療に取り組みました。
その結果2008年には、全体の95%に当たる5.8キログラムものイボを摘出することに成功しています。
手術後、顔のイボはほとんどなくなり、手も背中の皮膚移植により本来の人間らしい指を取り戻したそうです。
そして、手術前は不可能だった「手で鉛筆を掴み字を書く」ことができるようになったのですが、2009年末頃までには皮膚のイボが再び成長し始め、彼の腕は再び木のようになってしまったのです。
悲しいことに、2016年1月30日にインドネシアの病院で亡くなったことが報じられました。
最後に
難病である「樹木男症候群」について、その症状や原因と治療方法について調べました。
世界的にも非常に稀な難病・奇病であり、完全な治療には遠く及ばないのが現在の医学の原因のようです。
ただし、原因となるウイルスや遺伝子も、突き止められているようですので、今後の治療方法の確立には期待が持てるのではないかと思います。
しかし、あまりに稀な奇病のため、なかなか研究資金がつかないのではないでしょうか?
このような難病・奇病に苦しむ人々を救うための研究に、一定の研究資金が供給されるような仕組みのさらなる整備が望まれるところです。
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