
2017年1月21日に松方弘樹さんが死去されました。
死因となった病名は「脳リンパ腫」という聞きなれない病気です。
この記事では、大変珍しい「脳リンパ腫」という病気について、その症状や生存率と予後などをわかりやすくまとめていきます。
脳リンパ腫とは?
脳リンパ腫は、正確には中枢神経原発悪性リンパ腫と呼ばれます。
血液細胞のひとつであるリンパ球が腫瘍になったものです。
リンパ腫は通常、胸腺や骨髄のようになリンパ球や様々な種類の白血球が集まって出来た生体防御の組織であるリンパ組織にできます。
脳にはリンパ組織がないのですが、なぜリンパ腫が脳に発生するのか原因はよくわかっていません。
原発性(ここでは、脳に最初に発生したという意味)脳腫瘍の2.9%を占め、50歳以上の中高年の発症が80%を占めます。
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脳リンパ腫の発生率
脳リンパ腫の発生率は10万人に0.38人と言われており、他の脳腫瘍に比べると稀な病気です。
ちなみに脳腫瘍(中枢神経を含む)全体の発生率は、人口10万人に対して約3.5人です
脳リンパ腫の症状
腫瘍ができた場所によって症状は異なります。
患者の約半数に手足の麻痺や失語症などの症状が発生します。
その他に頭痛、嘔気、嘔吐などの頭蓋内圧の上昇に伴う症状や精神症状が現れます。
脳リンパ腫の検査
脳リンパ腫の検査は、主に「画像診断」と「生検」によって行われます。
まず脳MRIなどの画像検査が行われます。
脳MRI検査で悪性リンパ腫を強く疑うこともできますが、その他の悪性脳腫瘍と見分けがつかないことがあります。
脳MRI等の中枢神経系の検査と並行して、胸腹部の造影CT、FDG-PET検査、精巣エコー(男性の場合)などの全身検索を行い、他の臓器にリンパ腫の病変があるかを確認していきます。
また、血液検査や脳脊髄液の細胞診などを行って総合的に検討していきます。
最終的には手術(生検術)による病理診断をしないと脳リンパ腫と確定診断することができません。
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脳リンパ腫の治療方法
化学療法(抗がん剤)と放射線療法が治療の中心になります。
脳の血管には薬の成分を通しにくい特殊な性質があって、使える抗がん剤が限られます。
化学療法では、メソトレキセートという抗がん剤の大量投与が治療の主流となっています。
化学療法に加え、放射線全脳照射(脳全体の放射線を当てる)を追加するのが一般的です。
メソトレキセート投与と同時に放射線治療を行うと、とくに高齢者では脳がダメージを受け、高頻度で知的障害を含む後遺症が起こるので、メソトレキセートの投与量に注意が払われます。
脳リンパ腫の生存率
脳腫瘍全体の5年生存率は75%を超えるようになりました。
しかし、脳リンパ腫では、1969~1980年には5年生存率が10.2%、1981~1990年では20.7%、1991~1996年では26.1%と改善傾向にあるものの脳腫瘍全体と比較すると低い生存率となっています。
脳リンパ腫の予後
抗がん剤(メソトレキセート)大量療法と放射線治療による生存期間の中央値は、3年から5年くらいと言われています。
まとめ
松方弘樹さんの命を奪った脳リンパ腫について、その症状や生存率と予後などをわかりやすくまとめました。
脳リンパ腫は、血液細胞であるリンパ球のがんであり、通常の脳腫瘍に比べて発生率は極めて稀です。
また治療も難しく、通常の脳腫瘍に比べると生存率もひくい難病です。
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<参考サイト>
がんサポート
https://gansupport.jp/article/qa/brain_qa/5452.html
日本医科大学武蔵小杉病院
http://kosugi-h.nms.ac.jp/page/767.html
東京大学医科学研究所付属病院
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/glioma/tumor/chusui.html
がん情報サービス
http://ganjoho.jp/public/cancer/brain_adult/index.html