
将棋をテーマにした人気漫画でアニメが2016年10月から12月まで放映されている「3月のライオン」に二階堂晴信というとても魅力的なキャラクターが登場します。
主人公・桐山零のライバルにして(自称)心友という設定なのですが、この二階堂のモデルが映画「聖の青春」の主人公で、実在した天才棋士の故・村山聖九段であることは有名な話です。
漫画「3月のライオン」監修の先崎学九段は単行本の解説で、次のように語っています。
ところで実在のモデルがいるのかどうか悩む3月のライオンですが、ただひとり、二階堂君だけは、よく似てるという棋士がいます。故村山聖九段が、その人です。
小さい頃から体が弱かった村山九段は、そのことをおくびにも出さずに将棋界の中で闘い続けました。
「名人になりたい」が彼の心の支えだったと思います。そして二階堂君同様、ちょっぴりお茶目なところもある人間でした。(ちなみに体型もそっくりです。)
3月のライオン第1巻 先崎学のライオン将棋コラム4から抜粋
故・村山聖九段が3月のライオンの二階堂のモデルではないかと言われているポイントは下の2点ではないでしょうか。
- 小さい頃から体が弱かったが、将棋という自分の生きる道を見つけ、病気に負けず、厳しい将棋の世界で戦っている。
- ふくよかな体型のイメージが重なる。
では、他の面で二人を比較してみるとどうなのでしょうか?
この記事では、3月のライオンの人気キャラクター・二階堂晴信とそのモデル・村山聖について次のような視点から比較してみたいと思います。
- 二階堂と村山聖がよく似ている点
- 二階堂と村山聖の病気
- 二階堂と村山聖の名言と将棋に対する気持ち
- 二階堂と村山聖の死因
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Contents
主人公・桐山零のライバルにして(自称)心友・二階堂晴信!
まずは、3月のライオンに登場する二階堂晴信についてです。

- 二階堂は、五段の段位を持つプロ棋士です。主人公の霧山零とは子供の頃から子供将棋で対局を重ねる仲で「心友」かつ「終生のライバル」を自称しています。
- リッチな家のおぼっちゃまですが、幼い頃から体が弱く、いつも執事の花岡が付き従って影から見守っています。
- 普段は温厚で面倒見の良いお兄さんですが、こと将棋に関しては他人にも自分にも厳しい性格です。
- 新人戦トーナメント準決勝で千日手(無限ループに入って勝負がつかない状態)の指し直しとなり、座っているのがやっとの状態まで体調が悪化しても勝負を投げませんでした。
- 結果的には体が耐え切れず、対局中に倒れて敗退したのですが、入院生活を経て復帰し、誰も考えつかなかった新しい戦法を編み出して勝利するガッツの持ち主です。
東の天才・羽生善治のライバルにして二階堂のモデル・村山聖!
次は、実在した夭逝の天才棋士・村山聖についてです。
11月に公開された映画「聖の青春」で松山ケンイチさんが村山聖役を演じています。
医者に止められるのも聞かずに26kgもの増量をして役作りに打ち込んだことが話題になっていますね。
(左)故・村山聖九段 (右)松山ケンイチ演じる村山聖
当時既に名人の座についており、史上初の7冠制覇を成し遂げていた「東の天才・羽生善治」に対して「西の怪童・村山聖」と呼ばれていたほどの実力者でした。
1969年6月15日生まれ、広島県安芸郡府中町出身です。
5歳の時に、腎臓の難病・ネフローゼが発症してしまい、友達と外で遊ぶこともできず入退院を繰り返します。
この入院時に、父親の勧めで将棋を覚えます。聖は体の弱さに関わりなく実力で勝負できる将棋の世界にのめり込んでいきます。
1983年に奨励会(プロ棋士になるための養成機関)に入会し、わずか3年弱で四段に昇格しプロになります。
これは、谷川浩司や羽生善治を凌ぐとんでもない速さと言えます。
奨励会に入るだけでもすごいことですが、その後昇格できず、大多数の人がプロの道を諦めていく厳しい世界での異例のスピードでの昇格でした。
「名人になる」その思いだけで、デビュー後も快進撃を続け、1995年にはA級(プロの最高位リーグ)八段に昇格し、念願の名人位が目の前に迫ります。
しかし、1998年8月にA級に在籍のまま、29歳でその短い生涯を閉じました。
死後、九段を追増されています。
映画「聖の青春」のネット上の感想をこちらの記事にまとめています
→
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二階堂と村山聖は同じ腎臓の病気?
3月のライオンの二階堂は、幼いころから病気を患っている影響でむっちりした体型をしており、常に健康に不安を抱えていています。
そのためがいつも執事の花岡が付き従い、本人に内緒でGPSを持たしているため、どこにいても居場所がわかるようにしているほどです。
病名については、作中では明確にされていません。
しかし、二階堂が作中で「薄味でタンパク質控えめで・・・」と嫌々ながらも料理に注文をつけるシーンがあり、この食事制限から腎臓の病気が疑われます。
「3月のライオン」単行本1巻より抜粋
タンパク質を取りすぎると腎臓への負担が大きくなりますし、ナトリウムの排泄能力が落ちているので食塩の取りすぎは禁物なんですね。
参考サイト:食事療法のポイント | 腎臓病の食事 | 食事療法のすすめ方 | 東京都
そして丸くずんぐりした独特の顔立ちや体型も腎臓病の特徴の一つです。
腎臓の機能が低下すると、血管内に水分を保つ力が低下し、全身にひどいむくみが出ます。
有名な話ですが、村山聖さんがこの難病のネフローゼ症候群を患っていて、時には道端で行き倒れになるほどの体調不良に悩まされ続けていました。
村山聖さんのあの特徴的なずんぐりした体型は、病気によるものだったのですね。
おそらく、二階堂もこのネフローゼ症候群を患っているのでしょう。
3月のライオンでは、病気の種類や体型など村山聖さんの大きな特徴を二階堂にも受け継いでいて、モデルにしていることは間違いなさそうです。
二階堂と村山聖の名言が素晴らしい
村山聖さんは、幼い頃から病気で苦労しながらも厳しい将棋の世界で戦い抜き、29歳という若さで名人まであと一歩というところまで迫った人物だけあって、数々の名言を残しています。
また、3月のライオンも随所に名言がちりばめられた名作で、二階堂にも名言を語らせています。
ここでは、二人の人物の名言に触れてみたいと思います。
村山聖の名言
将棋は頭の良し悪しを競うものではない。心の強さを競うものだ
幼い頃から将棋一筋に突き進み、心を練り続けた村山聖らいし名言です。
対局前は無心か、相手を殺す、このどちらかの気持ちだ。体調の悪いときはだいたい殺すという気持ちのほうが強い。初めは倒すという感じだったが、それでは生ぬるい。自分は将棋しかできない人間、ならば将棋を負けるのは殺されるも同然
これも将棋に人生の全てを賭け、若くして散った村山聖さんにぴったりとハマる名言ですね。
名人になって早く将棋を辞めたい
ぼくにはね夢が2つあるんだ。1つは名人になって将棋を辞めてのんびり暮らすこと。もう1つは素敵な恋をして結婚し子どもをつくること
自分の人生が短いことを悟っていた村山聖さんが言うと、どちらもとてつもなく重い名言ですね。
二階堂の名言
負けた… 強かった…
あんなに強くなってるなんて...
−でも 次は絶対に負けない
プロに昇格して初めての桐山零との対局に破れた後の名言。
幼い頃に桐山零に破れた雪辱を誓って、病気と闘いながらも将棋に打ち込んできた二階堂でしたが、同じように桐山も成長しており、残念ながら対局に負けてしまいます。
しかし、負けても決して後ろ向きにならず、前を向き続ける二階堂らしい名言ですね。
3月のライオン 第1巻より抜粋
「潔い」のと「投げやり」なのは似ているけど違うんだ!!
プロ昇格後に将棋に対して投げやりになって、順位戦で連敗して調子を崩している桐山零に対する熱い一言!
桐山のライバルとして、心友として、耳に痛いこともしっかりと言葉にする二階堂。
読者の心にも響いてきます。
3月のライオン 第3巻より抜粋
終わりに〜
二階堂と村山聖の死因が違うことを祈ります・・・
さて、3月のライオンの愛されキャラ・二階堂と、そのモデルとされる天才棋士の故・村山聖九段を比較してきました。
やっぱり特徴的な体型や病気などはそっくりでしたね!
また、その将棋に対する熱い姿勢や強い気持ちもよく似ています。
ただし、一つだけ似て欲しくないことがあります。
それは村山聖さんが29歳という若さで亡くなっていることです。
村山聖さんの死因は膀胱がんでした。
少し調べた限りでは、ネフローゼ症候群と膀胱がんの因果関係を示す情報は見つかりませんでした。
ですから、ネフローゼ症候群の設定の二階堂が膀胱がんを発症するとは言えませんが、漫画の人気キャラや重要人物は、ストーリーの展開上、作者に殺されてしまうことも多いのが世の常。
「3月のライオン」は2016年11月の時点で連載中で、二階堂は変わらず元気に将棋を指しています!
できれば二階堂にはいつまでも元気に将棋を指し続けて欲しいものですね。
映画「3月のライオン」について知りたい方はこちらの記事をどうぞ!
→映画3月のライオンのキャストを漫画と比較!二階堂と桐山が激似
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