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12月10日に公開されたこちらの毎日新聞の動画が話題になっています。

少女に取りついた悪魔に神父が挑む映画「エクソシスト」(1973年、米国)。

少女が奇妙な形相をしたり、体をベッドから浮かせたり、ブリッジのように身体をそらせたまま階段を下りたりするシーンが話題になった。

関東地方に住む綾子さん(仮名、26)は5年前、米国留学中に映画の少女のような状態に陥った。

医学界で「以前なら悪魔に取りつかれたとして祈とう師が扱っていた」と指摘されるこの病は「抗NMDA(エヌ・エム・ディー・エー)受容体脳炎」。

綾子さんも入院中、ベッド上を跳びはねるなど不可解な動きが続いたが、5年越しの闘病の末、今では自転車に乗れるほどに回復した。

綾子さんの家族は闘病の様子を撮影した動画を提供し「映像を見てもらうことで病気への理解が深まれば」と話した。
引用:毎日新聞

正直なところ、あまりにショッキングな動画で、いたたまれない気持ちになります。。

人生の花盛りの時期に、悪魔のような病魔に取り憑かれた乙女とその家族の心境やいかばかりや・・・

「映像を見てもらうことで病気への理解が深まれば」と、勇気を奮って動画を公開されたご家族の思いに少しでも足しになればと思い、この病気「抗NMDA受容体脳炎」の治療方法と症状や予後と原因などについてまとめてみました。

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抗NMDA受容体脳炎とは?

脳の興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の受容体、NMDA型グルタミン酸受容体に自己抗体ができることによる急性型の脳炎である。

致死的な疾患である一方、治療により高率での回復も見込める疾患である。

卵巣の奇形腫などに関連して発生する腫瘍随伴症候群と考えられているが、腫瘍を随伴しない疾患も多数存在している。

2007年1月ペンシルバニア大学のDalmau教授らによって提唱された。

ある日から突然、鏡を見て不気味に笑うなどの精神症状を示しだし、その後、数か月にわたり昏睡し、軽快することが自然転機でもあるため、過去に悪魔憑きとされたものがこの疾患であった可能性が指摘されており、映画「エクソシスト」の原作モデルになった少年の臨床像は抗NMDA受容体抗体脳炎の症状そのものと指摘されている。

また、興奮、幻覚、妄想などいわゆる統合失調症様症状が急速に出現するのが本疾患の特徴であるため、統合失調症との鑑別も重要である。
引用:wikipedia

一言で言うと、脳内の神経同士の情報伝達に関わっている受容体という化学物質のひとつを、体が異物と判断してしまい、抗体という化学物質で自分の脳の細胞を攻撃してしまうという病気です。

現在では治療により回復が見込める病気のようですが、2007年まではひとつの病気として認識されていませんでした。

統合失調症ともよく似た症状を示すようですね。

従来は、卵巣腫瘍との関連があると考えらえれていて、若い女性の病気と考えられていたそうですが、男性でも発症することがあることがわかってきたそうです。

抗NMDA受容体脳炎の症状

抗NMDA受容体脳炎の症状は、前駆期、精神病期、無反応期、不随意運動期および緩徐回復期に分けられるそうです。

  1. 前駆期
    発熱,頭痛,倦怠感など風に似た症状が精神症状に先行して出現する。
  2. 精神病期
    病気の初期に無気力、無感動、抑鬱、不安、孤独などの感情障害が出現する.
  3. 無反応期
    精神症状のピークを過ぎると無反応状態に移行する。
    自分の力で目は開ける、が自発運動や声を発することはほとんどない。
    外からの刺激に対する反応もほぼない。
  4. 不随意運動期
    無反応期に入ると口や手の指の不随意運動が発生する。舌の提出運動、激しい咀嚼運動やまぶたの攣縮、ダンスをしているかのようなリズミカルな運動も 出現する。
  5. 緩徐回復期
    不随意運動が落ちつき始めると、意識も徐々に回復する。

(こちらの論文の内容を筆者にて抜粋して編集いたしました。)

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抗NMDA受容体脳炎の治療方法

専門医と連携し、根本的な治療としての免疫療法を

抗NMDA受容体脳炎は、抗精神病薬のみ、抗けいれん剤のみでも対症療法として一部の効果は得られると考えられています。

しかし、田中先生は「自己免疫性疾患と診断されず適切な免疫療法が行われないことで症状が進行・遷延してしまうことが危惧されます」と語ります。

抗NMDA受容体脳炎の臨床的特徴とされる精神症状やけいれんに加え、自律神経症状、呼吸不全、特徴的な不随意運動の有無をよく観察し、腹部CT/MRIでの卵巣奇形腫の確認を行い、一部でも本症に特徴的な症候がある場合は抗体検査が必要です。

「自己免疫性辺縁系脳炎が疑われる場合は、神経内科スタッフが充実し、血漿交換など他科との連携が可能な施設へ紹介するなど、適切なコンサルテーションを行えるよう心がけましょう」(田中先生)
引用:コスミックコーポレーション

根本的な治療方法は、薬の投与による免疫療法となるそうです。

ただし、精神症状やけいれんなどの症状が出るので、抗精神病薬や抗けいれん薬なども対処両方的に使って症状を緩和していくのですね。

抗NMDA受容体脳炎の予後

緩徐回復期:不随意運動が落ちつき始めると意識も緩 徐に回復する。

意識障害が遷延した 2 例では,経過中,前頭側 頭葉が萎縮したが、5~7 年後には回復していた。

長期昏睡状 態にありながらも緩徐に回復しえるのが特徴であり、神経細胞消失が主体ではなく、シナプスの可逆的な障害が主な病態 であると推測する。

しかし,重篤でかつ遷延性の経過をたどるため必ずしも予後良好ではない。

完全回復あるいはほぼ回復 は 75% に過ぎず、7% は死亡している。
こちらの論文より引用

治療は可能な病気ですが、回復は徐々に進み、長い時間がかかるようです。

完全回復もしくはほぼ回復するのは全体の75%です。

また、7%は死亡するとのことで、決して予後の良い病気ではありませんね。

抗NMDA受容体脳炎の原因

すべての患者を説明する説ではないが、ランセットの調査で、腫瘍学的スクリーニングを受けた98人の患者のうち58人は腫瘍を持っており、主に卵巣奇形腫であった。

このことから抗NMDA受容体抗体脳炎には奇形腫との高い合併率が見られる。

奇形腫は内胚葉、中胚葉、外胚葉すべてを含む腫瘍であり、それにより髪の毛や骨などが含まれることが多い。

この奇形腫の中に脳組織が含まれた場合、脳組織に対する抗体が生じ、抗NMDN抗体脳炎が発症するものと考えられる。

そのため、治療には奇形腫がある場合はそれが抗体産生の源となっているため、奇形腫の外科的切除をまず行う。
引用:wikipedia

抗NMDA受容体抗体脳炎は卵巣奇形腫と同時に発生することが多いようです。

卵巣奇形腫の中に脳の組織が含まれていると、それが元になって自己抗体を作り出すと考えられているようですね。

ただし、すべての患者さんに卵巣腫瘍があるわけではないので、現在の医学では、すべての抗NMDA受容体抗体脳炎の原因を説明仕切れているわけではないようです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

勇気ある患者の意思により、ショッキングな動画が公開された抗NMDA受容体抗体脳炎ですが、調べてみると、病気としての概念が確立したのが2007年とごく最近のことであり、治療は可能なものの、まだまだわかっていないことも多いのが現状のようです。

今回のご家族の勇気ある行動によって、この難病への理解と治療方法研究が進み、病気に苦しむ人たちに一刻も早く平穏をもたらすことを願ってやみません。

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