今日本で過去最大の流行を見せて大きな話題となっている病気が「人食いバクテリア」によって発症する「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」です。

なにやら長い病名ですね・・・

国立感染症研究所の報告では、2016年に入ってから11月13日時点の日本国内の発症報告数は442人にのぼり、過去最多だった2015年の425人をすでに上回っています!

「人食いバクテリア」などという恐ろしい名前が付いているこの病気ですが、一体どんな病気なのでしょうか?

人食いバクテリア」の症状や致死率、原因や感染経路、そして予防方法など、事実を正しく理解して病気を予防しましょう!

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人食いバクテリアとは?

人食いバクテリア」とは通称で、正しくは「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」という病気そのものをさすことが多いです。

やたらと難しい病名ですが、簡単に言うと「傷口から入ったバイキンが体の中で急に暴れ回って、筋肉や内臓を壊してしまう」病気です。

劇症型溶血性レンサ球菌感染症は1987年にアメリカで最初に症状が報告されました。

日本では1992年に初めて症状が報告されてから、毎年100-200人の患者が出ています。

こ のうち約30%が死亡するという非常に致死率が高い感染症であり、病気自体にかからないように予防することが極めて重要です。

病原体はA群溶血性レンサ球菌という細菌です。

A群溶血性レンサ球菌感染による一般的な症状は、咽頭炎(喉の炎症)で、子供によくある症状です。

一方、劇症型溶血性レンサ球菌感染症は子供から大人まで広い年齢層で発症しますが、特に30歳以上の大人に多いのが大きな特徴です。

発症すると手足の筋肉が急激に壊死(細胞が死ぬこと)する壊死性筋膜炎を起こすことから、人食いバクテリア」(flesh-eating-bacteria)という怖い名前で呼ばれています。

flesh-eating-bacteria「A群溶血性連鎖球菌の電子顕微鏡写真」東京都感染情報センターHPより

なお、以前にアメリカを中心にその危険性が報道されていた人食いアメーバ(フォーラーネグレリア)とは、その症状、原因、感染経路、予防方法など全く別の病気ですので混同しないように気をつけましょう!

人食いバクテリアの症状

人食いバクテリアが発症してはじめに見られる初期症状は次のようなものです。

  • 手足の痛み(四肢の疼痛)
    最も一般的な初期症状で急激に始まります。
  • 発熱、悪寒、筋肉痛、下痢
    約20%の患者にみられるインフルエン ザのような症状で、手足の痛みが始まる前に起こります。
  • 発熱などの全身症状
    手足の痛みの後に起こります。患者の約10%はショックによる低体温を起こします。
  • 錯乱状態
    55%の患者にみられ、昏睡(意識がなく痛みにみ反応しない状態)や好戦的な姿勢を見せることもあります。
  • 局所的な腫脹(腫れ)、圧痛(押すと痛い)、疼痛(ズキズキと痛い)、紅斑(赤み)
    筋肉など軟部組織への感染のサインで、皮膚の傷口から細菌が侵入した時に多いです。

発病してからの進行が非常に速く、発病後数十時間以内に次のような重い症状を起こします。

  • 軟部組織壊死(筋肉の一部が死滅する)
  • 急性腎不全(腎臓が働かなくなる)
  • 成人型呼吸窮迫症候群 (肺に水が溜まって呼吸不全になる)
  • 播種性血管内凝固症候群(全身で血栓が多発する)
  • 多臓器不全(いくつかの臓器が働かなくなる)

上のようの症状から最後はショック状態となり死に至ることも多いです。

発病から重症化までの進行は非常に速いので、風邪やインフルエンザのような症状の後に手足の痛みを感じたら、すぐに医師の診察を受けましょう。

壊死性筋膜炎は命に関わる緊急事態ですから、自分の足で病院に行けないようであれば迷わず救急車を呼びましょう!

人食いバクテリアの原因

劇症型溶血性レンサ球菌感染症(人食いバクテリア)の原因となるのは「A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)」で、のどや皮膚によくみられる細菌です。

A群溶血性レンサ球菌感染を原因とする一般的な病気は咽頭炎(のどの炎症)や膿皮症(とびひ)で子供に多いものです。

通常はレンサ球菌に感染しても無症候のことも多く、ほとんどはこれらの軽い症状にとどまります。

しかし、A群溶血性レンサ球菌が血液や筋肉、肺といった通常はこの細菌が存在しない部位に入り込むと劇症型溶血性レンサ球菌感染症の原因となることがあります。なお、感染経路についても下の方で触れていますのでそちらもご覧ください。

子どもの風邪の原因として知られている溶血性レンサ球菌がなぜ劇症化(症状が急激に重くなること)するのか、詳しい原因はわかっていません。

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人食いバクテリアの感染経路と予防方法

感染経路

どこからどのように感染するのか、その感染経路はまだよくわかっていません。

人食いバクテリアを引き起こすレンサ球菌は、人間の皮膚やのどなどにも存在することのある、めずらしくない細菌ですが、このレンサ球菌が患者の傷口に直接接触した場合に人食いバクテリアの症状を引き起こすことがあるようです。

予防方法

現状ではこの病に対するワクチンはなく、病気発症のメカニズムも完全にはわかっていないので、確実な予防は難しいようです。

しかし、傷口から細菌が入り込むこととの関係性が高いことは明らかですから、感染を予防し、発症するリスクを減らすためには傷口の処置が重要になってきます。

アメリカのCDC(アメリカ疾病管理予防センター)のサイトに人食いバクテリアを予防するための傷の対処方法が書かれているので引用します。

大切なのは、けがによる傷にきちんと対処することです。
常識的に、きちんと傷に対処することは、細菌による感染症を予防する最良の方法です。

  • 血などがでていたり、まだ開いていたりする傷は、清潔で乾燥した包帯でカバーしてください。
  • 水疱やすり傷、またはちょっとした切れ目のような傷でも、放っておかずに早めに対応してください。
  • 開いた傷などがある場合は、治るまで温泉、プール、湖・川・海などで過ごすことを避けてください。
  • 石鹸と水で頻繁に手を洗ってください。それができない場合は、アルコールで手をこすってください。

出典:CDC「Necrotizing Fasciitis」※市川衛氏和訳

結局のところは、傷ができた時の一般的な対処を徹底するのが最も確実な予防方法なのですね!

人食いバクテリアの治療方法

人食いバクテリアと思われる初期症状が出たら、まずはすぐに病院に行き医師の診察を受けましょう!

人食いバクテリアは細菌が引き起こす病気なので、その細菌を殺す薬である抗菌薬(抗生物質、抗生剤とも言いますね。)を飲むのが有効です。

しかし、抗菌剤を購入するためには医師の処方箋が必要です。

処方箋がないと薬局に行っても抗菌薬は売ってくれないですから必ず医師の診断を受けましょう!

それから、テレビCMなどでよく宣伝しているような、抗菌・除菌効果があると謳っている掃除などに使う洗浄剤や空気清浄機の添加剤などは、上の抗菌薬とは全く異なる製品ですから、間違って飲んだり傷口にかけるようなことは絶対にしないでくださいね!!

人食いバクテリア治療の抗菌薬の第一選択薬としてペニシリン系が使用されます。

余談ですが、ペニシリンと言えば、漫画やテレビドラマが大ヒットした『JIN-仁-』で仁先生が作っていたあれですね。
jin_02

抗菌薬の選択には高度な医療知識が必要ですから、どの抗菌薬を使うかは主治医の指示に従いましょう!
(どうしてもペニシリンがいい!なんて駄々をこねないでくださいね(笑))

血圧低下の症状も出ますので、血圧を保つために大量の輸液(点滴)が必要となることもあります。

壊死した軟部組織(筋肉)はレンサ球菌(人食いバクテリア)が生きていますので、症状の悪化を予防するため、壊死した部分を広範囲に切り取ることもあります。

まとめ

感染からわずか数十時間で重症化し、数日で死に至ることもある人食いバクテリア(劇症型溶血性レンサ球菌感染症)については、まだわかっていないことも多いですが、治らない病気ではありません。

しかし一旦発症してしまうと致死率30%と死亡の危険性が高く手足の壊死など完治後の生活の質が低下するリスクもはらんでいます。

初期症状はインフルエンザや風邪と似ており判別が難しく、発見が遅れると大変なことになります。

日頃から傷口のケアを徹底して感染予防を心がけ、少しでもおかしいと感じたらすぐに医師の診察を受けましょう!

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<参考サイト>
国立感染症研究所 劇症型溶血性レンサ球菌感染症とは http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/341-stss.html
東京都感染症情報センター 劇症型溶血性レンサ球菌感染症 http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/s-group-a/

広がる「人食いバクテリア」早期対策や予防の方法は? http://bylines.news.yahoo.co.jp/mamoruichikawa/20161123-00064724/
いしゃまち https://www.ishamachi.com/?p=32060